四方山噺日常録-Retreat Daily Record-

仕事を離れた人間が気ままに過ごす日常録

いざ、中華街へ

「そうだ、横浜中華街に行こう」

某鉄道のCMのように思い立ったのが、朝から家事を済ませ、ようやくソファに腰を下ろしたときだった。「思い立った瞬間こそ大吉」を信条とする身、あっという間にソファから離れ、気が付けば身支度を済ませていた。

今年に入って、横浜中華街に行くのは初。乗り継ぎの電車に揺られながら、春の平日に中華街に行った記憶を頭の中で探してみたが、見つからなかった。おそらく、平日に中華街に行くこと自体も人生の中で稀な経験だろう。食べ歩きの記憶と期待が全身を駆け巡る中、時間は掛かったが無事に横浜中華街に着いた。

休日と比べると混雑していない印象を受けたが、それでも人は多い。食べ歩き料理の店の前では、行列が出来ている場所も少なくなかった。さっそく、数多の小籠包に惑い始める心を抑えつつ、まずは雑貨店巡りを楽しんだ。

横浜中華街には不思議なお店が多い。もちろん、中華街なだけあって、中国の情緒が漂うアクセサリーや小物入れ、パンダや中国の吉祥模様をかたどった雑貨、中国料理に使う道具や調味料を扱うお店が多いが、それ以外にもアジア諸国のような雰囲気を醸し出した雑貨店や、がまぐち財布、和食器、和小物などを扱う雑貨店、何故か中にいるとハワイにいる気分になる雑貨店が点在している。

土日祝日に中華街に行くと、こうした雑貨店も混んでいて、なかなかゆっくり見て回ることも難しいが、流石に平日ということもあってか、見たい商品をゆっくり見て回ることが出来た。もし、雑貨を多めに買い込むことがあるとするならば、狙い目は平日昼下がり、ということを学べた。

雑貨店巡りを済ませると、ちょうどおやつを食べるのに良い時間だったので、いよいよ待望の中華街グルメ食べ歩きへ。と、言っても今回は急な思いつきだったため、お腹もお財布もそんなに余裕はなかった。

色々なお店の前を通っては悩みに悩み、今回選んだのは「いちごパンダまん」と「五色小籠包」。いちごパンダまんは愛くるしい顔をした桃色の生地の中に、熱々のいちごカスタードを包んだもの。五色小籠包は白・黄・赤・紫・緑の五食の皮に、肉汁たっぷりの肉あんを閉じ込めたもの。共に「ひと口目の火傷に注意」な絶品グルメである。

自分で選んだ料理の、ひと口目を頬張った時の美味しさは「中華街に来た甲斐があった」と幸せな気分にさせてくれる。こうした美味しさを味わえるお店が所狭しとひしめき合っているのだから、横浜中華街はやはり凄い場所だ、と小籠包の熱々の肉汁と口の中で戦いながら再認識した。

帰りの電車の中でこの記事を書きながら、「そういえば、エッグタルトを食べ損ねたな」「そうだ、パイナップルケーキも忘れてた」「あのお店の甘栗、お土産にすれば良かったな」と次々と心が騒ぐ。

大丈夫、また行こうと思えばいつでも行けるし、今日食べれなかったグルメも食べられる。ただ、軍資金をもっと持って行くことを忘れさえしなければ。