四方山噺日常録-Retreat Daily Record-

仕事を離れた人間が気ままに過ごす日常録

雨がかける魔法

どちらかというと、雨は好きな方だ。

晴れた空のように「大好き!」とまではいかないが、雨には雨なりの「魔法」があるように感じるから、好きだ。

例えば、時間がゆっくり感じられる「魔法」。雨音を聞きながら読書をしたり、お茶を飲んだり、何かしらの作業をしているだけで、いつもより時間がゆっくり感じられる。

集中力が高まるのか、リラックス効果があるのか、あるいはそのどちらも、なのか。ふと時計を見た時に「まだこんな時間なのか」と感じることは雨の日の方が多い。

あるいは、自然をより身近に感じられる「魔法」。家の近くに公園があって、雨の日に外に出ると、その公園から草木の香りがより強く感じられる。春から梅雨の時期は草の香りが強く、秋に移ろうと木の香りが強くなる、気がする。

深く呼吸をすると、ダイナミックな自然の豊かさをそのまま肺へ、そして全身へと行きわたらせるような、そんな気分にさせてくれる。呼吸するだけで健康になりそうだ、とも考えさせられる。

または、バタバタする忙しさを緩める「魔法」。今日やるべきことを明日に延ばしても良くなるような気分にさせてくれる。雨はその日の予定を再び考え直すのに、ちょうどいい天気だ。

そうだ、お洗濯をしなきゃ。いや、雨だから明日にしよう。そうだ、あの洋服を買いに行かなきゃ。いや、雨だから明日にしよう。そうだ、あの荷物、宅配便で出さなきゃ。いや、雨だから明日に…いや、明日だと休日だから着くの月曜になっちゃうかな。月曜でも大丈夫か確認しようかな、というように。

人間、そんなに急いで動かなくても、ある程度のことは回っていくようになっているのかもしれない。雨はふと、そんなことを思い出させてくれる「魔法」の持ち主なのだろう。

今夜は日付を超えても雨が降るらしい。こんな夜は、ゆっくりシャワーを浴びて、自分へのご褒美に甘いものを食べて、少しだけ夜更かしをしようか。